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“恋人たち” それでも人は生きていく…絶望と再生



飲み込めない思いを飲み込みながら

それでも人は生きてゆく…

これは現代社会の中で、もがきながら生活している3人の主人公にスポットを当て

それぞれの立場から見た“社会の息苦しさ”を描いた群像劇である。

群像劇というとストーリーがうまいこと噛み合って「おぉ〜」(゚o゚)
みたいなものが多いが

この作品に関しては“ストーリーが交錯すること”に重きを置いておらず

それぞれの主人公が“それぞれの場所で生きている”ということに意味があるように思う。

“人の抱える苦悩”を3人の主人公によって多面的に描いているのだ。






●とある理不尽な事件により自分は全く悪くないのに妻の命を奪われてしまったアツシ(篠原篤)。
●人を見下すことでしか自分をたもてない同性愛者の弁護士・四ノ宮(池田良)。
●愛情のない夫と偏屈な姑とともに鬱屈とした生活を送る主婦・瞳子(高橋瞳子)


本作はこんな3人の視点から描かれており
見る人によって“誰に思いを馳せるか”も違うだろう


ただ彼らを取り巻く環境は皆ともに息苦しい。


中でも妻を失ってしまったアツシの気持ちに関しては
もうこちらが想像しようがないほど深いものであり
簡単に「そうだよね、苦しいよね」なんて寄り添えるようなものではない。


でも、大事なのは気持ちが100%わかることだろうか?
これは決してわかったふりをして善人面しろ!というわけではなく…

“何かあるだろう”って。

その“何か”に答えなんてないけど
せめて自分だったらどうするだろうって。

もしも

自分がこんな風になったらどんな気持ちになるのだろうか。
自分の周りにこんな人がいたらどんな風に接するだろうか。

そんなことを考えてみる価値はあるのではないだろうか…。

現代は他者の苦悩に関してあまりにも無関心のように思う。

想像力の欠如…とでもいうのだろうか。

みんな悪気はない。

ただ子どもの頃によく言われた
「自分のされて嫌なことは人にもしない!」くらいの
少し考えればわかるほどの“相手の気持ち”すら気付かず
無意識に人を傷つけていく。

みんな“自分が生きていくのでもう精一杯”なのだ。


自分が生きるために一生懸命なのは立派なことだ。
それだけで素晴らしい。

ただ、そのパンパンに張り巡らせた緊張の中に
ほんの少しだけゆとりを作り

もしも赤の他人を思いやる気持ちを持てたら
世の中はどんな風になるだろう。

1日でいい。もしも日本中の全ての人が
今日は“人に優しくしてみよう”って本気で思ってみる日があったら…

何か変わるのではないだろうか。

この映画では基本的に
主人公たちが抱える苦悩は解決しない。

ただ3人のそれぞれの人生の中に垣間見れる
“何気ないひとこと”や“ちょっとした優しさ”

そんな“小さな温かいもの”が積み重なって
彼らに一筋の光を与えているように思う。

人を追い込んでしまうのは人。
でもそんな人に小さな光を与えられるのもまた人。

ちょっとした優しさ、ちょっとした笑い。

そんなものがずっと解決できなかった重い持ち物を
ほんの少しだけ軽くしてくれる。。。

これこそが本当の希望なのかもしれない…。


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